工程管理及び検査の概要
1−1.目的
工程管理及び検査(以下、「検査等」という)は、地籍調査の成果及び中間成果の精度を
国土調査法施工令及び地籍調査作業規程準則等の規格に適合させ(規格外の作業に対しては
再測量又は再調査をさせる)、実施の過程における誤り等を防止し、かつ、作業の能率化、
経済化を図るとともに成果認証の前提条件を整備することを目的とする(この検査に合格
しないものは成果認証の対象にならない)
1−2.工程管理者及び検査者の資格
工程管理者は、原則として、直営にあっては作業班長、外注にあっては監督者(発注
側)であり、市町村の職員(標準的には係長クラス)が行う。
ただし、直営作業において都合によりやむを得ない場合には、作業者と兼ねることを
妨げない
検査者は、作業者、班長及び監督者以外の者とし、原則として、都道府県及び市町村
の職員が行う。
ただし、検査業務は、地籍調査に経験の深い者等に委託することができる
1−3.工程管理及び検査業務の概要
―地籍調査の作業手順(地上法)―
分類 記号 |
作 業 内 容 |
A1 |
全体計画の作成 |
A2 |
関係機関との調整 |
A3 |
事業計画の策定・公示 |
A4 |
実施に関する計画の作成 |
A5 |
作業規程の作成 |
A6 |
国土調査の指定の公示 |
A7 |
国土調査の実施の公示 |
A
B工程(地籍調査事業準備)
分類 記号 |
作 業 内 容 |
B1 |
実施組織の確立 |
B2 |
補助申請 |
B3 |
作業班の編成又は委託契約 |
B4 |
推進委員会の設置 |
B5 |
趣旨の普及 |
B
C工程(地籍図根三角測量)
分類 記号 |
作 業 内 容 |
C1 |
作業の準備 |
C2 |
選 点 |
C3 |
標識の設置 |
C4 |
観測及び測定 |
C5 |
計 算 |
C6 |
取りまとめ |
C7 |
市町村検査 |
C8 |
都道府県検査 |
分類 記号 |
作 業 内 容 |
D1 |
作業の準備 |
D2 |
選 点 |
D3 |
標識の設置 |
D4 |
観測及び測定 |
D5 |
計 算 |
D6 |
取りまとめ |
D7 |
市町村検査 |
D8 |
都道府県検査 |
分類 記号 |
作 業 内 容 |
E1 |
作業の準備 |
E2 |
作業進行予定表の作成 |
E3 |
単位区域界の調査 |
E4 |
調査図素図等の作成 |
E5 |
現地調査の通知 |
E6 |
標札等の設置 |
E7 |
市町村の境界の調査 |
E8 |
現地調査 |
E9 |
取りまとめ |
E10 |
市町村検査 |
E11 |
都道府県検査 |
分類 記号 |
作 業 内 容 |
F1 |
細部図根測量の準備 |
F2 |
選点及び標識の設置 |
F3 |
観測及び測定 |
F4 |
計 算 |
F5 |
細部図根点配置図等の作成 |
F6 |
市町村検査 |
F7 |
都道府県検査 |
F8 |
一筆地測量の準備 |
F9 |
観測及び測定 |
F10 |
計算及び筆界点の点検 |
F11 |
原図の作成 |
F12 |
市町村検査 |
F13 |
都道府県検査 |
F
G工程(地積測定)
分類 記号 |
作 業 内 容 |
G1 |
作業の準備 |
G2 |
測定、計算及び点検 |
G3 |
取りまとめ |
G4 |
市町村検査 |
G5 |
都道府県検査 |
分類 記号 |
作 業 内 容 |
H1 |
地籍調査票の整理 |
H2 |
地籍図原図の整理 |
H3 |
地籍簿案の作成 |
H4 |
数値情報化 |
H5 |
市町村検査(閲覧前) |
H6 |
閲 覧 |
H7 |
誤り等訂正 |
H8 |
認証申請関係書類の整理 |
H9 |
市町村検査(閲覧後) |
H10 |
都道府県検査 |
H11 |
成果の写しの送付等 |
工程管理とは、地籍調査を適正かつ円滑に実施するために、作業の進捗状況を
確実に把握して、工程管理表に従い作業を進行させるとともに、工程管理及び
検査規程の一覧表に規定された要目についてその記録及び成果を全数又は抽出に
より点検を行うことをいう。
また、工程管理者は、作業者等に対し自己点検(作業者が自己の実施した作業の
記録及び」成果について日々又は一作業終了ごとに内容に誤りがないかどうか一つ
一つ当って点検すること)の実施を徹底させる。
市町村検査とは、各工程大分類等の作業ごとにその記録又は成果を全数又は抽出
により行う検査をいい、原則として納品検査と一体的に行う。
都道府県検査とは、各工程大分類等の作業ごと(作業の終了を待たずに所定の
抽出数等を確保して実施することもできる)にその記録又は成果を全数又は抽出
により行う検査をいい、成果の認証を前提として行う。
検査等は、机上の業務と現地の業務に分けられる。
机上業務とは、庁舎内等で行う検査等をいい、各工程表の適切性の点検、各工程
の記録及び成果品の観察・照合等がある。
現地業務とは、工程管理者又は検査者が作業現地に出向き、立会い又は直接に
行う検査等をいい、標識設置の適切性、辺長検査等がある。
検査等の方法は、全数法と抽出法とに分けられる。
全数法とは対象物の全てについて検査等を行う方法であり、例えば次のような
ものが全数法で行われる。
@.作業者の自己点検
A.精度管理表
B.原図等の仕上り
A.抽出法とは
抽出法とは、対象物を同一地域に集中しないように無作為により一定の割合で
抽出して、検査等を行う方法であり、例えば次のようなものが抽出法で行われる。
@.調査図素図等の作成
A.現地での検査(辺長検査等)
B.観測簿、網図及び成果簿等対象物の多いもの
B.抽出数
抽出数は、所定の抽出率によって求めた数の小数点以下を切り上げて算出する。
なお、E、H工程においては、全数の一定割合による抽出数が10未満の場合は、
抽出数を10以上とする。ただし、全数が10未満の場合は全数を対象とする。
定率抽出法により検査等を行った結果、不合格が出た場合には、次の処置をとる
ものとする。
A.不合格が10%以上あった場合
検査等数のうち10%以上不合格のものがあった場合には、その工程のすべてに
ついて再調査又は再測量を行わせ、再度、所定の抽出数の検査等を行う。この場合
の抽出に当たっては、当初の検査等で抽出したものを除くものとする。
B.不合格が10%未満の場合
不合格が10%未満の場合には、不合格の箇所を修正させた上、再度所定の
抽出数の検査等を行い、さらに、不合格が出た場合には、その工程のすべてに
ついて再調査又は再測量を行わせる。この場合の抽出に当たっては、当初の
検査で抽出したものを除くものとする。